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ツッコミ日記 Encylopedia


[綴文] 「自動日記」 [長年日記]

2008年04月19日 22:22更新

題目「自動日記」

ある日、ケータイに1通のメールが届いた。

「三日坊主のあなたのための自動日記

あなたがその日とった行動が自動的に日記に書かれます。」

迷惑メールだと思った。でもボクは興味半分でそのメールに書いてあったサイトにアクセスして、そこに書かれていたいくつかの簡単な説明を読んで、面白そうだったので登録してみた。自分を登録するのは少し不安があったので、友人のタケルで登録して様子を見ることにした。

翌日、日記にアクセスしてみると昨日の分の日記が書かれていた。タケルが母親に怒られたこと、つまみぐいしたことなんてのも書かれていた。日記は次の日も、またその次の日も書かれていった。そこに書かれていることがどれだけ本当のことかはわからない。でも、少なくとも学校のことやタケルと遊んでいる時の事は本当のことだった。日記のとおりのことが起こっていると考えると面白くて、日記をしばらく見つづけていた。

ある日、日記を編集できることを知った。起こったことが書かれている日記なのに書き換えることができるというのも変な話だが、実際に書き換えたらどういうことになるのか試しにやってみた。何を書こうか迷って、交通事故にあって入院、と書いてみた。学校に行くとタケルがなかなか来ない。チャイムが鳴ってもタケルが来る事は無く、先生が来てタケルが交通事故にあったことを教えられた。書き換えたとおりのことが起こったことに驚いた。怖くなったボクはタケルの日記を削除して、自分の日記はどうなっているんだろうと気になって自分の日記を見ることにした。

自分の日記をはじめて見て、その内容の正確さに驚いた。そこに書かれていることはすべて確かに起こったことだった。寸分違わない。タケルの日記に書かれていた事もすべて本当のことだったのだろう。唯一、タケルの日記と違ったのは、今日のことがすでに書かれているということだった。今日起こったこと、そしてこれから起こること。もし今日の日記にとんでもないことが書かれていたら、そう考えると背筋がゾクリとした。同時に、自分の日記を確認して良かったとも思った。なぜなら、自分にとって不利なことが書かれていたら、編集して書き換えてしまえばいいからだ。

ボクはそれから日記を見てから行動することが日課になった。不都合なことがあればすぐさま都合のいいように書き換えて、1日を過ごしていった。

ところがある日、日記で確認したことと少し違うことが起こった。最初は見間違えだと思ったが、どうも自分が見た時と、後で確認した後で日記の内容が違うことがあることに気付いた。よく考えると、ボクもタケルの日記を見て、書き換えたことがあった。ボクの日記も他の誰かが見ていて、そして日記を書き換えているのではないか? そう思うとボクは怖くなり、日記を頻繁に確認するようになった。もちろん誰かに書き換えられていないかを確認するためだ。

書き換えられては自分が書き換えて、そんなことを繰り替えすようになっていった。だんだんと書き換えられていく頻度が多くなり、確認がおいつかなくなりそうだったので、悩んだ結果、ボクは日記を削除することにした。

「あなたの過去がすべて消えますが、よろしいですか?」

ボクはその問いに「はい」と選択し、ボクの日記は削除されたのだった。

誰かがボクで登録してしまったら意味がないのではないか……。焦っていたボクはそのことに全然気付かず、すべてはあとのまつりだ。すぐケータイで確認しようと思ったが、なぜか繋がらなかった。電話も使えない。なぜ電話が使えなくなったかもわからない。どうしたらいいかわからず、まず家に帰ることにした。家に帰れば電話もある。母さんのケータイもある。

帰宅してすぐ居間に向かった。そこでは母さんがテレビを見ていた。

「母さん!」

ボクが叫ぶと、母さんは振り返って怪訝そうな顔でこう言った。

「あなた勝手にあがりこんで、どこの子?」

そういえば入院してるタケルはどうなったんだろう。ボクは今自分に起きてることを受け入れる以前に、タケルのことが気になっていた。

おしまい。

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