最初に書いておきますが、これは私の感じたことであり一般論的にドラクエを語ろうとか、学術的にどうこうとかそういう代物ではありません。むしろ世間の評価とズレているかもしれませんので、そこんところは気にしないほうが健康的かもしれません。ちなみに今回書くのは一番最初に出た、いわゆるドラクエ1です。
さて、この作品の個人的な総合評価を書きますと、正シリーズ8作のうち、第8位です。ビリですね。ものすごく反感買いそうですが、一応ビリな理由はあります(後述)。
このゲームはファミコン……というか、家庭用ゲーム機でアクション要素のないオーソドックスなRPGとしては初のゲームでした (アクション要素のものとしてはドルアーガの塔がすでにある)。当時この手のRPGと言えば、テーブルトークRPGを除けばパソコン用のRPGくらいしかありませんでした。なので多くのファミコンユーザにとって「RPG? 何それ?」という状態だったかもしれません。そんな中でジャンル発となるドラクエを発売するというのはずいぶんな冒険だったと思います。無論、ポートピア連続殺人事件で“謎を解く”タイプのゲームが受け入れられるということに対かな手ごたえがあっただろうし(※)、先見的な見方をすればこれが当たればこのジャンルにおいてエニックスが抜きん出るという期待があったかもしれません。実際、ドラクエの発売後はRPGというものが世間に認知され受け入れられました。結果としてその後は次第に様々なRPGが登場することとなり、ジャンルとしてその地位を確立していくこととなります。
そうやってドラクエが受け入れられたもの、作り手による、プレイヤーに対する遊びやすさの工夫があったからでしょう。パソコンRPGではキーボードをフルに使った操作体系もありましたが、ファミコンではそれを再現することができませんし、仮に何とか再現しても複雑すぎてプレイヤーはわけがわからなくなります。また、画面もステータス画面などが画面上に固定的に表示されていたこともあり、実際のプレイ画面は小さいものも少なくありませんでした。それに対してファミコンの特徴を生かし操作をシンプルに、そして画面を大きくすることで見た目にわかりやすく、かつ、パソコンRPGとの区別化をはかっています(※)。
また、初めてプレイする人のためにあえて複雑なシステムにせず、主人公1人を操作すればよいように、パーティ制を採用しませんでした(※)。ただし、これは容量の問題から実現できないことに対する言い訳である可能性もあります。いずれにせよ功を奏したのは確かでしょう。
私がこの作品の評価を8位にする理由はここにあります。もともとパソコンでRPGをプレイしていたため、パーティを組めないシステムに「いまさら1人?」と、冷ややかな目で見ていました。実際、1対1の戦闘は戦略性に乏しく、やれることも限られてくるためだんだん単調となり飽きてくる。RPGを構成する要素は、発見・謎解きと、戦いと思っています。その1つの要素が面白くないとなれば、魅力は半減してしまいます。シリーズの他の作品ではシステム的に難のあるものはあっても、それが原因で構成要素が完全につまらなくなるまでは無いので、順位づけをしようとすると戦闘のつまらなさはドラクエ1にとって致命的でした。この“ビリ”という順位は、今後よほど酷い出来の作品が出ない限り、私の中では不動だと思います。
最後になりますが、私がこのゲームを評価する上で欠点であると判断したことは、同時にこのゲームにとって良点であるということで、一応フォローはしておきます。
なお、とりあえず夢幻の心臓IIについては触れないでおきます。
当時有人が「ドラクエって夢幻の心臓IIに似てる」と言っていたのが印象的でした。後日実際に夢幻の心臓IIを見せてもらったのですが、そのゲームを私がプレイしたわけではないので正直似ているかどうかの判断ができませんでした。適当なことを書いても仕方ないので、これに関してはコレ以上は特に触れるつもりはありません。
※ ドラゴンクエストへの道より